中国越境ECの法律、規制、注意点

【2023年度版】中国の越境ECで考慮必須の規制・法律・注意点について

中国越境ECの法律、規制、注意点

中国のEC市場は世界的にみても最大級の市場規模です。日本企業から見ても、中国のEC市場の大きさはとても魅力的です。他方、日本企業が越境ECという形態で中国市場に参入するには、中国の法律や規制について理解する必要があります。以下では、中国越境ECにおける法律や規制、注意点について解説します。

サイバーセキュリティ法(2017年施行)による規制・注意点

中国では、2017年に施行された「サイバーセキュリティ法」により、中国政府は、インターネット上のデータの安全性とプライバシー保護を強化するための枠組みを整備しました。この法律は、すべてのオンラインサービスプロバイダーに対して、サービスの提供において、個人情報の収集、利用、保護などについて定めた義務を課しています。

越境EC事業者も、この法律に従って、顧客の個人情報を適切に管理する必要があります。

中国特有の海外ITサービスを遮断するシステムとは?

中国では、GoogleやFacebook、Twitter、YouTubeなどの海外のITサービスが遮断されています。中国には、グレートファイヤーウォールと呼ばれる、中国政府がインターネット上で行われる情報のやり取りを厳密に監視、制限するためのシステムがあります。

中国のグレートファイヤーウォールとは?

中国のグレートファイヤーウォールは、中国政府が2003年から建設を進め、中国国内のインターネット利用者が外部の情報にアクセスすることを制限するために使用されています。このシステムは、国内のインターネットプロバイダーを通じてインターネットトラフィックを監視し、アクセスしたいサイトが政府が定めたブラックリストに含まれている場合は、アクセスを遮断します。このように、グレートファイアウォールは、中国政府によるインターネットの検閲を実現するために使用されています。

グレートファイアウォールは、政府が問題視する多数のトピックに関する情報をブロックするために使用されています。例えば、中国政府は、任意のトピックに関する情報をブロックし、国外のウェブサイトからのアクセスを遮断しています。また、グレートファイアウォールは、Twitter、Facebook、YouTube、Google、Instagramなど、海外の人気サイトへのアクセスも遮断しています。

このような検閲システムにより、中国国内のインターネット利用者は、外部の情報に制限されることになります。このような検閲システムの是非は、ともかく、このようなシステムが存在しています。

グレートファイアウォールに対抗する技術としては、VPNやプロキシを使用することが一般的です。これらの技術を使用することで、中国国内のインターネット利用者は、国外のサイトにアクセスすることができます。しかし、中国政府は、VPNなどの回避技術の使用を制限することも試みており、インターネット利用者の自由な情報ア

クセスを制限するために、違法なVPNの使用に関する法律を制定するなど、厳しい対応を取っています。

グレートファイアウォールは、中国政府によるインターネット検閲の象徴となっており、世界的に批判されています。検閲が表現の自由を脅かし、インターネット利用者の情報アクセスに制限をかけることが問題視されています。グレートファイアウォールによる検閲に対する抗議活動や、中国政府による検閲に対する国際社会の批判が強まっているため、中国政府は、グレートファイアウォールを緩和する動きも見せています。しかし、現在もグレートファイアウォールは、中国政府による厳しい監視と検閲が続いています。

中国のグレートファイアウォールは、世界的に批判を受ける検閲システムであり、中国国内のインターネット利用者が外部の情報に制限されることを意味しています。一方で、中国政府は、国内の情報をコントロールするための手段として、グレートファイアウォールを維持しています。今後も、グレートファイアウォールがどのように進化していくかに注目が集まっています。

コンテンツ規制

中国のグレートファイアウォールによる規制と延長上にある考えなのですが、コンテンツの規制も存在します。

中国では、政治、宗教、人権、法律、モラル、社会秩序などのテーマに関するコンテンツが規制されています。越境EC事業者は、中国国内で販売する商品やサービスについて、配慮が必要です。また、商品やサービスの紹介ページなどにおいても、コンテンツの規制に留意する必要があります。

中国で販売したいと考えている商品がコンテンツ規制の対象となるか、中国法務に長けた弁護士等に相談することをお勧めします。

通信の不安定性

中国と海外との通信には、不安定性があります。インターネット接続の遅延や、一部サイトへの接続がブロックされることがあります。中国のサイトにアクセスするためには、VPNやプロキシを利用することが一般的です。また、中国の通信環境が整備されるまで、越境EC事業者はこのような問題に対処する必要があります。

ICP登録の義務

中国では、ICP(Internet Content Provider)登録を行うことが義務付けられています。ICP登録は、インターネット上でサービスを提供する事業者に対して行われるもので、登録することによって、中国政府による監視が行われるようになります。越境EC事業者もICP登録が必要であり、中国国内に拠点を持つ企業とは異なり、登録には一定の条件があります。

中国向けビジネスに必須のICP資格

中国では、インターネット上でサービスや情報を提供する事業者が、ICP(Internet Content Provider)登録を行うことが義務付けられています。ICP登録は、中国政府がインターネット上の情報を監視・管理するための制度で、事業者が法律に従った適切なサービスを提供していることを確認する役割を果たしています。特に、越境EC事業者にとっては、中国市場でのサービス提供をスムーズに行うためには、ICP登録が不可欠です。

ただし、海外企業がICP登録を行う際には、一定の条件が設けられています。まず、ICP登録を行うには、中国国内に登録事業所が必要です。そのため、現地法人を設立するか、代理店と提携して登録を行うことが一般的です。また、ICP登録には2種類のライセンスがあり、一般の情報提供サービスを行う場合には「ICP許可証」が、電子商取引を行う場合には「ICP経营許可証」が必要になります。

ICPとは?

ICP(Internet Content Provider)とは、インターネット上で情報やサービスを提供する事業者を指します。中国では、インターネット上で事業を展開する際に、ICP登録を行うことが法律で義務付けられています。ICP登録は、中国政府がインターネットの情報やサービスを監視・管理するための制度で、事業者が法律に従った適切なサービスを提供していることを確認する役割を果たしています。

ICP登録を行うことで、事業者は中国政府の規制や監視を受けることになりますが、同時にインターネット上でのサービス提供が正式に認められ、中国市場での事業展開が可能になります。

ICPが必要になった背景

ICP登録制度が導入された背景には、中国政府がインターネット上の情報やサービスを監視・管理するための取り組みがあります。インターネットの発展に伴い、違法な情報やサービスが増加し、それらに対する対策が求められるようになりました。ICP登録制度は、インターネット上で事業を展開する事業者に対して一定の基準を設け、適切な情報提供とサービス提供が行われていることを確認することで、ネット上の秩序を維持することを目的としています。

また、中国政府は、国内の情報産業の発展を促進するためにも、ICP登録制度を導入しました。ICP登録を通じて、国内外の事業者が法律に従った形で中国市場でのビジネス展開が可能になり、情報産業の競争力を高めることが期待されています。

さらに、ICP登録制度は、中国政府がインターネット産業に対する統制を強化するための手段でもあります。ICP登録を行った事業者は、政府の監視下に置かれることになるため、違法行為や違反行為が発覚した場合には、迅速に対処することができます。このような背景から、中国政府はICP登録制度を導入し、インターネット産業の健全な発展を目指しています。

以上から、中国向けビジネスを展開する際には、ICP登録が重要な要素となります。中国国内での事業展開をスムーズに行うためには、ICP登録を適切に行い、法律や規制に対応したサービス提供が求められます。

中華人民共和国電子商取引法(電子商務法)

2019年1月1日に施行された中華人民共和国電子商取引法(以下、電子商務法)は、中国における電子商取引(EC)に関する法律であり、EC事業者に対して一定の規制や義務を定めています。この法律は、中国で急速に成長しているEC市場に対する法整備が必要になったことから制定されました。電子商務法は、消費者保護や不正競争の防止、知的財産権の保護など、EC市場に関連する様々な問題を取り扱っています。

電子商務法の概要

電子商務法は、EC事業者に対して以下のような規制や義務を定めています。

  1. EC事業者の登録: 事業者は、市場監督管理部門に登録を行い、登録情報の変更や廃止を適切に届け出ることが求められます。
  2. 広告の規制: 虚偽広告や違法広告の禁止、広告主や広告代理店の責任に関する規定が設けられています。
  3. 消費者保護: 個人情報保護やクーリングオフ制度、返品・返金に関する規定が定められています。
  4. 知的財産権の保護: 著作権、商標権、特許権などの侵害行為の禁止や、権利者への救済措置が規定されています。
  5. 不正競争の防止: 不正な競争行為や妨害行為の禁止、違反者への罰則が設けられています。

電子商務法の特徴

電子商務法には、以下のような特徴があります。

  1. 広範な対象: 電子商務法は、EC事業者だけでなく、オンラインサービス提供者や広告代理店など、EC市場に関連する事業者も対象としています。
  2. 個人事業者の規制緩和: 個人事業者は、一定の要件を満たすことで、市場監督管理部門への登録が
  3. 3. プラットフォーム事業者の責任強化: 電子商務法は、プラットフォーム事業者に対して、取引の安全確保や消費者保護、知的財産権の侵害防止などの責任を負わせています。また、プラットフォーム事業者が違法行為を発見した際には、適切な対応が求められることになっています。
  4. クロスボーダーECの対応: 電子商務法は、クロスボーダーECに関しても規制を設けており、輸入や輸出に関する法律や規制に遵守しなければなりません。
  5. 罰則の強化: 電子商務法では、違法行為や違反行為に対して、罰金や営業停止、登録取り消し等の罰則が設けられており、法令遵守が強く求められています。

以上から、電子商務法は、中国のEC市場において法整備を図るとともに、消費者保護や知的財産権の保護、不正競争の防止などを目的としています。中国市場でのビジネス展開を考える企業は、電子商務法に遵守し、適切な対応が求められることを理解しておくことが重要です。

中国越境ECに関わる税金について

中国越境ECにおいては、関税、増値税、消費税、行郵税など、様々な税金が関わってきます。それぞれの税金は、取引額や商品の種類によって異なる税率が適用されるため、事業者はこれらの税金に注意して対応する必要があります。

直送モデル

直送モデルとは、海外(日本)の倉庫から直接中国の消費者に商品を発送する方法です。このモデルでは、商品の在庫を保税区内に保管する必要がなく、小規模な取引や個別の発送に適しています。ただし、関税や増値税、消費税などの税金が課され、配送時間が長くなることがデメリットとなります。

保税区モデル

保税区モデルでは、商品を中国国内の保税区内に保管し、消費者からの注文があった際に中国国内から発送する方法です。このモデルのメリットは、関税や税金が低く抑えられ、配送時間も短縮されることです。ただし、保税区内での在庫管理や輸送コストがかかることがデメリットです。

関税

関税とは、国境を越える商品に課される税金であり、商品の種類や数量に応じて異なります。中国越境ECでは、関税が課されることが一般的で、事業者は適切な関税の申告や支払いを行う必要があります。

増値税

増値税は、商品の付加価値に対して課される税金であり、中国では一般的に13%または9%の税率が適用されます。越境ECにおいても、増値税が課されることがあります。

消費税

費税は、消費者が購入する商品やサービスに対して課される税金です。中国では、特定の商品(タバコ、化粧品、高級時計など)に対して消費税が課されます。

行郵税

行郵税とは、中国国内で個人輸入される商品に課される税金で、個人が購入する商品の総額が一定額を超える場合に適用されます。行郵税は、関税や増値税とは別に課されることがあります。

その他留意すべき規制

中国越境ECにおいては、税金や関税以外にも様々な規制が存在します。例えば、商品の検疫や検査、輸入制限など、取り扱う商品によって留意すべき規制が変わります。また、中国国内での広告や宣伝に関する規制も厳しく、違反すると罰金や業務停止命令が課されることがあります。

虚偽宣伝の禁止

中国では、虚偽宣伝や違法な広告活動が禁止されており、違反すると罰金や業務停止命令が課されることがあります。商品の性能や品質を誇張したり、他社の商品を不当に評価するような広告は避ける必要があります。

中国法人への登録

中国越境ECに参入するにあたって、中国法人の設立や登録が必要となることがあります。中国法人を設立することで、現地でのビジネス展開や資金調達が容易になりますが、設立には手続きや費用がかかります。

営業許可証の申請

中国越境ECに参入する際には、現地での営業許可証の申請が必要となることがあります。営業許可証は、商品の種類や事業内容に応じて異なるものがあり、適切な許可証を取得しなければ、業務が行えない場合があります。

中国越境ec参入でのよくあるトラブル

中国越境ECに参入する際には、様々なトラブルが発生することがあります。例えば、輸入規制や税金に関するトラブル、商品の検疫や検査による遅延、現地での競合他社とのトラブルなどが挙げられます。これらのトラブルを回避するためには、十分な市場調査や法規制の把握、現地でのパートナー企業との連携が重要です。

まとめ

日本企業が、中国向けに越境EC事業者として参入する場合、先述したようなリスクや規制等の対応策を検討しなければなりません。

中国と海外との通信に不安定性があること、海外ITサービスが遮断されていること、そして、ICP登録が必要であることに注意が必要です。また、商品やサービスのコンテンツについても、政治、宗教、人権、法律、モラル、社会秩序などの規制に留意する必要があります。サイバーセキュリティ法により、越境EC事業者は、顧客の個人情報を適切に管理することが求められています。

中国越境EC事業者は、先述した中国の法律や規制に対応することで、ビジネスを拡大ることができます。越境EC事業者は、このような中国の規制や法律を遵守することが不可欠であり、国内でビジネスを行う場合と同様に、リスクマネジメントが重要になります。

株式会社Better WEBの越境EC支援サービス

弊社は各国向けの越境EC事業の支援サービスを提供しています。中国も例外ではなく、実際に自社で越境ECサイトを構築し、中国在住者へ商品の販売を行っております。弊社の体験として、基本的に、越境ECのサイト構築はShopifyで問題ないのですが、中国だけは、Shopifyでは無理です。

中国へ越境EC事業者として、参入をお考えの方は、一度お問い合わせください。

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